「泳げない子の特徴は分かった。でも、結局どうすれば泳げるようになるの?」
そう思った保護者の方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、泳げない子をいきなりクロールの練習に進ませる必要はありません。
まず大切なのは、
水に慣れる → 息を吐く → 浮く → 姿勢を整える → 手足を動かす
という順番で、一つずつできることを増やしていくことです。
泳げない原因が違えば、必要な練習も変わります。
この記事では、前回の記事で紹介した「泳げない子の特徴」をもとに、泳げるようになるための最初のステップを解説します。
泳げない子は「泳ぎ方」より先に確認したいことがある
前回の記事では、泳げない子に見られやすい特徴として、
- 水が怖い
- 顔を水につけられない
- 身体に力が入りすぎる
- 息を止めてしまう
- バタ足をしても進まない
- 身体が沈んでしまう
- 泳がなければと焦ってしまう
という7つを紹介しました。
これらを見ると、「クロールの練習をもっとすればいい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
例えば、水に入ること自体が怖い子に、
「もっとバタ足して!」
「腕を大きく回して!」
と伝えても、本人は泳ぎ方以前のところで困っている可能性があります。
だからこそ、最初にやるべきことは泳げない原因を見つけることです。
ステップ1|まず「何が怖いのか」を確認する
泳げない子に対して、最初に確認したいのが水への恐怖心です。
「水が怖い」といっても、怖いポイントは子どもによって違います。
例えば、
- 顔に水がかかるのが怖い
- 鼻に水が入るのが怖い
- 深い場所が怖い
- 足が床から離れるのが怖い
- 水中で身体が動かなくなるのが怖い
- 息ができなくなるのが怖い
などがあります。
ここを一緒に確認してあげることが大切です。
「なんで泳げないの?」
と聞くより、
「何が一番怖い?」
と聞いてみてください。
子ども自身が怖いポイントを言葉にできるだけでも、改善の方向が見えてきます。
ステップ2|顔を水につけることを急がない
泳ぐためには水中に顔をつける場面があります。
しかし、顔を水につけることが苦手な子にとっては、ここが大きな壁になります。
そこで大切なのが、いきなり「顔を全部つける」のではなく、段階を作ることです。
例えば、
水に触れる
↓
口を水につける
↓
水中で息を吐く
↓
鼻や口を水につける
↓
顔を水につける
というように、本人ができるところから進めていきます。
重要なのは、「できないところを何度も繰り返す」のではなく、「できるところを少しずつ広げる」ことです。
ステップ3|「息を吸う」より「水中で吐く」を意識する
水泳では呼吸が重要です。
泳げない子の場合、
「息を吸わなきゃ」
と考えすぎてしまうことがあります。
しかし、水中では息を止め続けるより、水中でゆっくり息を吐く感覚を覚えることが大切です。
例えば、水の中で「ブクブク」と息を吐く練習があります。
これができるようになると、
「水の中でも息を吐ける」
という感覚を覚えられます。
呼吸に対する不安が減れば、身体の力みも改善しやすくなります。
ステップ4|「浮く」を覚える
泳ぐためには、身体を水に浮かせる感覚も重要です。
ここで覚えておきたいのが、
「浮こう」と頑張りすぎないこと。
身体に力が入りすぎると、自然な浮き姿勢を作りにくくなることがあります。
特に泳げない子は、
「沈まないようにしよう」
と頭を上げたり、身体を固くしたりしがちです。
すると身体の姿勢が崩れ、かえって泳ぎにくくなることがあります。
まずは、安心できる環境で水に身体を預ける感覚を少しずつ覚えていきます。
ステップ5|身体の力を抜く
泳げない子を指導するとき、非常に重要なのが「力み」です。
一生懸命になるほど、
「頑張って!」
と力が入ってしまいます。
しかし、水の中では身体が固くなることで、スムーズに動けなくなる場合があります。
特に、
- 肩が上がる
- 首が固い
- 腕が伸びない
- 脚が固い
- 呼吸が苦しくなる
といった状態になっていないか確認してみましょう。
「もっと頑張る」ではなく、
「少し力を抜いてみよう」
という声かけが必要な場面もあります。

ステップ6|バタ足は「強く蹴る」より姿勢を見る
「全然前に進まないから、もっと強く蹴ろう」
これは泳げない子によくある考え方です。
しかし、バタ足では脚の動きだけを見るのではなく、身体全体の姿勢を見ることが重要です。
例えば、
- 頭が上がっている
- 腰が沈んでいる
- 脚が深く沈んでいる
- 膝を大きく曲げすぎている
- 身体全体に力が入りすぎている
などがあると、効率よく進めないことがあります。
そのため、
「もっと強く!」ではなく「身体の姿勢はどうなっている?」
という視点を持つことが大切です。

ステップ7|「できた」を積み重ねる
泳げない子を伸ばすうえで、技術と同じくらい大切なのが成功体験です。
例えば、
「今日は顔を1秒つけられた」
これだけでも立派な進歩です。
次に、
「水中で息を吐けた」
「少し浮けた」
「バタ足で前に進めた」
というように、小さな成功を積み重ねます。
いきなり25m泳ぐことだけを目標にすると、途中で「自分はできない」と感じてしまうことがあります。
だからこそ、
昨日できなかったことが、今日は少しできた。
この変化を大切にしてください。
泳げるようになるための順番を整理すると
ここまで紹介した内容をまとめると、次のようになります。 ステップ 目標 1 何が怖いのかを確認する 2 水に少しずつ慣れる 3 水中で息を吐く 4 水に浮く感覚を覚える 5 身体の力を抜く 6 姿勢を整えてバタ足する 7 小さな成功を積み重ねる
この順番が絶対というわけではありません。
子どもの状態によって前後しますが、**「泳ぎ方だけを練習するのではなく、その前に必要な土台を作る」**という考え方が重要です。
保護者が意識したい声かけ
泳げない子への声かけも大切です。
「もっと頑張って!」
ではなく、
「今日は何ができた?」
と聞いてみてください。
さらに、
「昨日より長く顔をつけられたね」
「水の中で息を吐けたね」
「前より怖がらなくなったね」
というように、できたことを具体的に伝えるのもおすすめです。
子どもにとって、
「自分は少しずつできるようになっている」
と感じられることは、次の練習への自信につながります。
やってはいけないのは「できないことを繰り返す」こと
練習しているのに上達しない場合、単純に練習量を増やせばいいとは限りません。
例えば、
顔をつけられない
↓
何度も顔をつけさせる
↓
怖くなる
↓
身体に力が入る
↓
さらに苦手になる
という状態になってしまえば、練習そのものが嫌になってしまう可能性があります。
大切なのは、
「なぜできないのか?」
を考えて、練習の段階を一つ戻したり、方法を変えたりすることです。
第1部から第2部、そして第3部へ
今回の記事は、三部作の第2部です。
第1部では、
「泳げない子にはどんな特徴があるのか?」
を解説しました。
そして今回は、その原因を踏まえて、
「泳げるようになるには、どこから始めるのか?」
を解説しました。
ここまで来たら、次に必要なのは「具体的な練習」です。
そこで第3部では、
「泳げない子が泳げるようになる具体的な練習法」
をテーマに、実際に取り組みやすい練習方法を紹介します。
水に慣れる練習、呼吸、浮く感覚、姿勢、キックなど、子どもの段階に合わせて取り組める方法を整理します。
まとめ|泳げない子は「泳ぎ方」より先に土台を作る
泳げない子を見ていると、つい「クロールの練習をしなきゃ」と考えてしまいます。
しかし、泳げない原因が水への恐怖や呼吸、身体の力みなどにあるなら、そこから改善する必要があります。
大切なのは、
原因を知る
↓
できることから始める
↓
小さな成功を積み重ねる
↓
泳ぎの練習へ進む
という流れです。
「泳げない=才能がない」ではありません。
今できないことがあっても、できるところから一つずつ進めばいいのです。
そして次はいよいよ、実際に何をすれば泳げるようになるのかです。
三部作の第3部では、具体的な練習方法を紹介します。
「泳げるようになりたい」から「実際に練習してみる」へ。
ここからが本当のスタートです。




